介護食のエキスパートである「介護食士」に関する情報を紹介しています。身体介護だけでなく、他の角度からも高齢者を支えたいと考えている介護士はぜひ参考にしてください。資格を活かして転職する方法も紹介しています。
食事について制限がなく、健康な人が食べる食事を「通常食」と呼ぶのに対して、飲み込む力や噛む力が低下していき、通常食を食べづらくなった人が安全に食べられるように工夫された食事を「介護食」と呼びます。食べる力が弱まると誤嚥などのトラブルを引き起こす可能性があり、介護食はそれを防ぐ効果があります。最近では、すぐに食べられるようにパック詰めされたタイプのものや、あらかじめ食べやすいように調理している食材がスーパーなどでも売られるようになりました。また、通販でも簡単に購入することができます。
介護食にはいくつかの段階があります。噛む力や飲み込む力は人によって異なるので、それぞれの状態に合わせて調理しなければなりません。例えば、ある程度噛む力がある人に柔らかすぎる食事を用意しても美味しく感じず、食欲が減退してしまいます。日々の食事にストレスがないように、それぞれのレベルに応じた介護食を用意する必要があります。
「きざみ食」は口に入れた後に噛みやすいように食品を小さくきざんだ食事です。飲み込む力はあるものの噛む力が弱い人や、口を大きく開けられない人などに適しています。
「ソフト食」は食品を舌でつぶせるくらいまで煮込んだり茹でたりしたものです。飲み込む力や噛む力が弱い人、消化不良を起こす心配のある人などに適しています。
「ミキサー食」は食品をミキサーにかけて液体状にしたものです。噛むことが困難な人や、飲み込む力が弱くなった人に適しています。また、誤嚥しないようにとろみをつける場合もあります。
「嚥下食」は食品をミキサーにかけた上で、飲み込みやすいようにペースト状やゼリー状にしたものです。飲み込む力が弱く、かつ誤嚥する可能性がある人に適しています。
「流動食」は消化しやすさを重視したもので、スープや重湯など具のない液状の食事です。噛む力、飲み込む力ともに低下している人に適しています。主に病気や術後などで消化する力が衰えている人に提供します。高齢者に限らず、入院経験がある人は食べたことがあるかもしれません。
食事は生きるために必要な栄養を摂取するという意味でも重要ですが、食事を楽しむこと自体が生きる活力になり、認知症予防や心の安定にもつながります。食べやすさだけでなく、見た目や味にもこだわることで健康状態を良好に保つことができるのです。ただしそれは簡単な作業ではありません。最近は介護の現場にも介護食に関する専門知識を持ったスペシャリストが配置されるようになってきました。それが、食から高齢者を支える「介護食士」です。
介護食士の資格を取得することで介護食に関する専門的な知識や技術を得られます。あくまで資格の一種なので介護食士という職業があるわけではありませんが、この資格があれば活躍の場を広げることができます。